肩や肘は動くけど、指が曲がらない、握る力やつまむ力が弱い人は、「自助具」を使うことでスプーンなどが使いやすくなります。
食事は、生きていく上で必要不可欠な動作です。
しかし、栄養のためにお腹を満たすだけで満足するでしょうか?
人は、自分のペースで好きなように食べることではじめて、食事が楽しい、美味しいと感じ、満足感が得られます。
その動作を手助けする道具のことを「自助具」(生活保護具)と呼びます。
※「Self help device(セルフヘルプデヴァイス)」=「自らを助ける道具」
片麻痺や脊髄損傷、関節リウマチなどは、握る力やつまむ力が大きく低下し、日常生活に支障をきたします。
食事の場面では、通常のスプーンは重かったり、細かったりするため、上手く持つことができず、スプーンを落としたり、上手くすくえず、食べ物をこぼすことになります。
今回は、当院で使用している食事用の自助具を紹介させていただきます。
■形状記憶食器
これは、グリップに手を挟み込むことで、握力の弱い人や手首の動きが不自由な人でも、肩肘の力だけで口までスプーンを運び、食事をすることができる自助具です。
患者様の手に合った自助具を使うことで、自由に食事を楽しむことができます。
◇作り方
①70℃以上のお湯にグリップを入れる
②3~5分たったら、お湯から出す
③使う人の手に合うようグリップを曲げ、形を変える
④グリップを水に入れ、冷やす
※再度お湯につけ、繰り返し使用可
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■太柄スプーン
また、このような太柄のスポンジも使います。
これは、スポンジの穴にスプーンの柄を差し込み、柄を太くして持ちやすくしたものです。
スプーン以外に、ボールペンや歯ブラシなどに使用するものもあります。
関節リウマチで手が変形、痛みがある方や、脳卒中の麻痺によって握力が弱くなった方、指が曲がらない方でも、小さな力で握りやすい自助具となっています。
太柄スプーンは、100円ショップなどのスポンジや滑り止めシートを使って、手軽に作ることもできます。
当院ではこのような自助具を使用していますが、既製品では適応できない患者様もいらっしゃいますいます。
そのような場合は、作業療法士を始めリハビリスタッフがその方に合った自助具を作製し、自立に向けてリハビリを行っています。